社長の退職金・受け取り方シミュレーター

退職金、1回で受け取る?
2回に分ける?

答えは、人によって違います。
勤続年数と金額を入れるだけで、税金と手取りの差がすぐ分かります。

自分の数字で試算する
社長

社長わしは1回か、2回か。誰かひと言で教えてくれ

たぬき

たぬきひと言では無理なんです。でも、数字を入れればすぐ出ます

このページの使い方

1
数字を入れて試算する1回と2回で、所得税・住民税・手取りがどう変わるか
2
タイプ診断に答える数字以外の事情(会長として残れるか・会社を売るか など)で判定
3
自分に関係する解説だけ読むタグで絞り込めます。印刷して税理士さんとの相談にも
STEP 1 SIMULATOR

1回か、2回か。あなたの数字で試算する

入力した数字は、この画面の中だけで計算します。どこにも送信されません。

入力金額は「万円」で入力
年
役員(社長)としての年数。1年未満は切り上げ
万円
会社の内部留保などから支払う分
万円
2回に分ける場合は、会長を退くときに受け取る想定
年
会長の間も掛金を続ける想定で計算します
5年後
2回が有利

パターンA1回で受け取る
パターンB2回に分ける

空ける年数で、差はこう変わる

2回目まで税金の合計(2回分)1回で受け取る場合との差

計算の内訳を見る
1回で受け取る2回(1回目)2回(2回目)
  • 所得税の速算表(令和8年分)・復興特別所得税2.1%・住民税10%(全国一律。名古屋市など一部の市は少し低くなります)で計算した目安です。
  • 退職所得控除の重複調整(いわゆる5年ルール)、勤続5年以下の役員退職金の特例(2分の1にしない)を反映しています。
  • iDeCo・企業型DC・はぐくみ基金などの一時金は含みません。受け取る予定がある場合は、結果が変わるので税理士さんに相談してください。
  • 共済金の額は受け取る時期で変わりますが、ここでは同じ額として比べています。
STEP2 タイプ診断へ進む数字だけでは決まらない事情を、6つの質問で確認します
STEP 2 TYPE CHECK

数字だけでは決まらない。
あなたはどのタイプ?

税金の差が大きくても、会長として残れなければ2回に分ける方法は使えません。6つの質問に「はい/いいえ」で答えてください。

STEP 3 GUIDE

自分に関係するところだけ、読めばいい

タグを押すと、その話題の解説だけを表示します。タイプ診断の結果からも絞り込めます。

#税金の仕組み

退職金の税金は、なぜ受け取り方で変わるのか

01

退職金は「別枠」で計算

給料などとは合算せず、退職金だけで税額を出します。しかも控除を引いた残りの半分だけに課税される、優遇された所得です。

02

1年にまとまると税率が上がる

所得税は金額が大きいほど税率が上がります。会社の退職金と共済を同じ年に受け取ると、高い税率の段に乗りやすくなります。

03

年を分ければ別々に計算

受け取る年を分ければ、それぞれの年で計算します。合計が同じでも、1年あたりの金額が小さくなり、低い税率で済むことがあります。

計算式

課税される退職所得 = (退職金 − 退職所得控除)× 1/2

勤続20年以下40万円 × 勤続年数(最低80万円)
勤続20年超800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)

所得税は下の速算表で計算し、さらに所得税の2.1%(復興特別所得税)が加わります。住民税は、課税される退職所得の10%です。

所得税の速算表を見る(令和8年分)
課税所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超〜330万円以下10%97,500円
330万円超〜695万円以下20%427,500円
695万円超〜900万円以下23%636,000円
900万円超〜1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超〜4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円
#2回に分ける

社長で1回、会長で1回。受け取りの流れ

社長を退いて会長になるときに1回目、会長を退くときに2回目を受け取ります。「社長を退任して会長になる」という区切りがあるから成り立つ方法です。社長のまま2回受け取ることはできません。

1回目
社長を退任

後継者に社長を譲り、会長へ。社長としての退職金を受け取ります。

原資の例:会社の内部留保

会長として
在任
会長の期間
働き方を変える

報酬を大きく減らし、経営の実務は新社長へ。実態として退いていることが大前提です。

理想は
5年以上
2回目
会長を退任

会長を退くときに、別の退職金として受け取ります。

原資の例:小規模企業共済

娘

娘お父さん、会社は私に任せて! 会長になったら、ゆっくりしてね

社長

社長……ゆっくり、とは週に何日だ

娘

娘週1〜2日です。

#5年ルール#2回に分ける

1年空けと5年空けで、差が大きく変わる理由

前の年から数えて4年以内に別の退職金を受け取っていると、非課税の枠(退職所得控除)のうち、期間が重なる部分は2回目で使えません。これが通称「5年ルール」です。

ただし、1回目で枠を使い切っていない場合は、使い残した分を2回目で使えます。1回目の金額が枠の中に収まる人は、1年空けでも損はしません。

1〜4年で受け取る

重なる期間の枠が差し引かれ、2回目の枠は「重ならない期間の分」だけになりがちです。それでも、同じ年に受け取るより税率が下がる効果はあります。

5年以上空ける

非課税の枠が復活し、共済の加入期間まるごとの枠が使えます。2回目の税金が大きく下がります。

※2026年1月から、iDeCo・企業型DCの一時金を「先に」受け取った場合は、この期間が9年(10年ルール)に延びました。会社の退職金→共済の順番は、これまでどおりです。

たぬき

たぬき何年空けるといくら変わるかは、試算の表で見られますよ

社長

社長……5年、待とう。

#会長の実態

一番大事な注意点。「形だけの退任」は通らない

書類の上で「社長を退任した」「会長になった」となっていても、働き方が社長時代と変わっていなければ問題になる可能性があります。

奥さん

奥さんあなた、会長になったのに、どうして毎日会社に行くの?

社長

社長……ちょっと、様子を見にな

奥さん

奥さんそれ、税務署さんにも「社長のまま」に見えますよ

否認されると、どうなるか

社長退任時に支払った数千万円、場合によっては数億円の退職金が、「実際には退職していない」として退職金と認められないリスクがあります。経費として認められず、税負担が一気に増えかねません。

項目こうなっていると危ない会長になったら、こう整える
役員報酬社長時代とほぼ同じ半分、あるいは3分の1程度に減らす
対外的な折衝銀行との打ち合わせ・交渉を続けている銀行交渉などは新社長が担当する
会議・契約重要な会議に出て、契約書に押印している重要な会議・契約も新社長が対応する
出社日数これまでどおり毎日出社している週1〜2回程度に減らす
部屋・デスク社長時代の専用の部屋を使い続けている専用の部屋・デスクも見直す

※「こうしていれば絶対に大丈夫」という明確な基準はありません。税務調査ではいろいろと聞かれるため、あらかじめ整えておくことが大切です。

#共済なし

小規模企業共済に入っていない場合

共済がない場合、2回目は「会長を退くときに、会社から払う会長としての退職金」になります。このとき気をつけたいことが3つあります。

  • 2回目の勤続年数は「会長だった期間」だけ社長時代の期間は1回目で清算済みなので、2回目の非課税の枠は会長期間の分(1年あたり40万円・最低80万円)だけです。
  • 会長期間が5年以下だと「半分にする」優遇がない役員として5年以下で受け取る退職金は、控除を引いた残り全額に課税されます。1年や2年で会長を退くと、2回目の税金が思ったより高くなります。
  • 金額が大きすぎると経費にならない会長の期間と報酬に見合わない額は、「過大な役員退職金」として会社の経費に認められないおそれがあります。

共済なしで2回に分けるなら、会長として6年以上残るかが分かれ目になりやすいです。試算で「入っていない」を選ぶと、年数ごとの差を確認できます。

#1回がよい

1回で受け取るほうがよい人もいる

  • 退職金が非課税の枠に収まる人1回でも税金がかからないなら、分ける意味はありません。
  • 会長として残る実態を作れない人後継者がいない、完全に引退したい、つい毎日口を出してしまう。形だけの会長は否認のリスクがあり、1回できれいに退くほうが安全です。
  • 試算で差が小さかった人差が数十万円なら、会長として残る手間や、早く使えるメリットのほうが大きいこともあります。
  • 共済がなく、会長として長く残らない人会長期間が5年以下だと2回目の優遇が小さく、分けても得をしにくくなります。
社長

社長分ければ得、じゃないのか

たぬき

たぬき人によるんです。だから試算するんです

#早く使いたい

早く受け取って使う・運用する場合

5年空ければ手取りは増えますが、1年後に受け取って早めに運用したほうが、5年後の資産の合計が大きくなるケースもあります。住宅資金や相続対策など、すぐに使い道がある人も同じです。

まず試算で「5年空けると手取りがいくら増えるか」を確かめ、その金額と、早く手元に置くメリットを天秤にかけてください。

#会社を売る#事業承継

会社を売る・次の世代に継ぐ場合

会社を売る(M&A)なら、必ずしも多額の退職金は必要ありません。売値とのバランスで考えるので、受け取り方より先に「いくら払うか」を決めることになります。

次の世代に株式を引き継ぐなら、退職金を支給することで会社の株価が下がり、株式を移しやすくなる場合があります。株価をどこまで下げたいか、いくらまでなら退職金を払っても問題ないかを、役員報酬の設定までさかのぼって税理士さんと設計しておくことが大切です。

#iDeCo・DC

iDeCo・企業型DC・はぐくみ基金を使っている場合

これらを一時金で受け取ると退職所得になり、会社の退職金と非課税の枠を取り合います。受け取る順番で、空ける年数が変わります。

iDeCo・DCが先 → 退職金が後
10年 空ける
2026年1月から(以前は5年)
退職金が先 → iDeCo・DCが後
19年 空ける

組み合わせが複雑になるため、このページのシミュレーターには含めていません。受け取る予定がある場合は、税理士さんに相談してください。

#退職金規定

退職金規定は作っておくべき?

役員の退職金規定は、作っておいたほうが安心です。一方、従業員の規定は必ずしも必要ではありません。規定を作ると、条件に当てはまる従業員全員に支給する義務が生じる場合があるためです。

CHECKLIST

税理士さんに相談する前の準備チェックリスト

試算の結果と一緒に印刷して、相談に持っていってください。

1. 数字をそろえる

  • 会社から受け取る退職金の見込み額と、勤続年数(役員としての年数)
  • 小規模企業共済の加入年数と、受取額の見込み
  • iDeCo・企業型DC・はぐくみ基金などの有無と、受け取り方の予定
  • 役員の退職金規定があるか

2. 受け取り方を決める

  • このページで「1回」と「2回」の差を試算した
  • 2回に分けるなら、何年空けるか(1〜4年/5年以上)を決めた
  • 早く受け取って使う・運用する場合と比べた

3. 会長としての実態を整える(2回に分ける場合)

  • 役員報酬を半分〜3分の1程度に減らす
  • 銀行交渉・重要な会議・契約の押印を、新社長に引き継ぐ
  • 出社を週1〜2回程度にし、専用の部屋・デスクを見直す

4. 会社の将来像とつなげる

  • 会社を「売る/次の世代に継ぐ」のどちらかを考えている
  • 事業承継なら、退職金と株価への影響を確認する
奥さん

奥さんこれを印刷して、税理士さんのところへ行きましょうね

社長

社長……わしも行くのか

印刷すると、ボタンや診断は消え、試算結果と解説が資料として残ります
FAQ

よくある質問

社長のまま、退職金を2回受け取ることはできますか?

できません。社長としての退職金を受け取った時点で、社長を退任した扱いになるためです。社長を退任して会長になり、その後会長を退任するタイミングで別の退職金として受け取る形なら、年を分けられます。

1年しか空けられなくても、効果はありますか?

多くの場合あります。年が変われば、それぞれの年で計算するため税率が下がります。ただし非課税の枠の一部が使えなくなるので、効果は5年空ける場合より小さくなります。試算の表で年数ごとの差を確認してください。

住民税は、住んでいる市町村で変わりますか?

退職金にかかる住民税は、ほぼ全国一律で10%です(市町村6%・都道府県4%)。名古屋市など、独自に税率を少し下げている一部の市だけ、わずかに低くなります。

会長になったあと、会社にはどの程度関わってよいですか?

明確な線引きはありません。役員報酬を大きく減らす、重要な会議に出ない、対外的な交渉や契約は新社長に任せる、出社を週1〜2回程度にする、など実態を伴った形にしておくことが重要です。

必ず会長になったほうがよいのですか?

いいえ。会長にならずに退任するケースもあります。税金の差と、会長として残る手間やリスクを比べて、会社の状況に合わせて決めてください。

ご注意:本ページは一般的な考え方と目安の試算をご紹介するもので、個別の税務判断を行うものではありません。試算は所得税の速算表・復興特別所得税・住民税10%による簡易計算です。実際の控除額や重複の判定、役員退職金として認められる金額は、個別の状況により異なります。税制は改正されることがあります。実際の判断・手続きは、必ず税理士などの専門家にご相談ください。